きっと最初から壊れてた
あなたは出て行った。あなたは出て行ったから、あなたは戻る。あなたは戻ることができる。戻ることができる、そう信じたから、どうやら出て行くこともできたあなた。あなたは出て行った。出て行った、それからあなたは戻ってくる。あなたは出て行った、あなたは出て行って、そして戻ってくる。出て行ったあなた。戻ってきたあなた。出て行った、それはあなたが出て行きたかったから。あなたが出て行った時刻は不明だったし、あなたが出て行った理由も不明だったし、さらにあなたが戻ってきた理由も不明。あなたは戻ってきた、あなたは出て行った、あなたは出て行ったはずだった、けれど、あなたは戻ってきた。行方不明だったあなたが。戻ってきたかったから戻ってきたかどうかも不明、そこがいちばん不可解。あなたは戻ってくる。出て行ったのはあなた、あなたには意思があり、あなたには足がついててあなたが歩くからあなたはここを去ることができた、あなたにある手でドアを開けて外の世界へと、そう、全部あなただから。そう、書き置きのひとつも残さずに、僕には電話番号も伝えずに、それら全部、あなただから。僕には、あなたは僕のもとから去っていったようにしか見えなかったし、あなたのやり方は完璧だとしか思えなかった。あなたはちゃんとやってくれた、すごく、しっかりとした出て行き方を選んで、あなたは出て行った。なのに全部なしにして、ここに戻ってくるあなた。理解できない、と僕は思うけど、それすらも恐らく、あなただから。
あなたは誰?
僕はもう二度と、あなたみたいな壊れてる人間と何か共有するつもりはないよ。




