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絆の物語






 魔王とのラストバトルで世界の半分をくれてやるから軍門に降るようにといわれてそれで剣を手から離すような勇者はいない、そんな条件を呑むようならば彼は最初から勇者では全然なかったということ。



 だから、背後からあの人を毒を塗ったダガーで刺し、ひどく苦しそうな様子に満足げだった彼女のことも、今ではいい思い出。

 英雄を殺してしまった女をその場で斬り殺した悲しいあの男のことも、もちろんいい思い出。



 どれも思い出にしてみせる、全て美しい思い出にするしかもはやわたしに術は残されていないのだから。












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