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罪と罰
何だかおかしなところにある処刑場だなとはずっと思っていた。
全てがぼくのためにあった。
気づいたんだ、この世界は始まった時から、ぼくのためだけに存在する世界だったんだって。
夜の闇をぼくは恐れなくなった。だって全部わかったから。
そう、いい残して、かつて私たち全員が暮らしていたあの町からも彼じしんの人生からも、存在を消し去られた男子が昔いました。
ある意味彼の言葉は半分正しかったのかもしれません。
一人の少年と共に、小さな町の不可思議なあの処刑場は消滅し、いつどうやって消えたのか誰にもいえない仕方でそうなり、しかも一切の痕跡も残さずにそうなり、今となってはだから全てが、幻だったのかもしれない、そう呟く者も私たちの中にはいるのでした。




