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灰皿






 あれ? と青年の声がいった。

「どっかいったんだけどどこだ灰皿、灰皿がない」



「なモンこのへやにねぇんだよ、あとお前それ火がついてもねぇよ」



「うんってか、指に挟んどくべき煙草がそもねーし」



「夜にあるべき広さもねーんだよな」



「指も顎も肩先も胸もない」



「あぁあと瞬きもねぇし、皆々様の愛したあの溶け方もねぇし、洗い流せるってお前だったらあんとき思ってただろーけど、クラスの女子は口を揃えてむりつってた汚れ方、汚れてんなーと誰もがそう見てた、それだってもうない。背中も蛇口も。意図がずっと不明な糸も罪ももうお前ねぇじゃんか何なんだよお前、もうお前お前がないんだよもぉ何なんだこの先どーしたらいんだよ、なぁ? なんていやいいんだよこれからお前んこと」



 一方の声がもう一方に訴えることを続ける中、涙さえもここからはもはや失われていたことが発覚する。それに対し痛める胸はすでになかったのだから、誰だって炒めるしかないのだった。



 長い間のあった後でようやく青年の声がこういった。

「一緒に帰ろうかあの内側に。懐かしの、狭い檻にさ?」













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