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実験動物とその親友
「 × × × ? 」
いいえ、これは実験動物の、右前足です。
「 × × × ? 」
いいえ、これは実験動物が楽に死ねるように、ここに差したままにしておいて下さい。
「 × × × ? 」
はい、これは実験動物のための、思い出のカップ焼きそば、その、最後のいっこでした。
「 × × × ? 」
いいえ。違います。
「 × × × ? 」
いいえ。ボクは元々は、実験動物となった彼の、良き友人とみなされ、ここへ連れてこられたのです。実験動物のために。彼にとっての住み慣れた、ボクの目が必要だったから。
「 × × × ? 」
いいえ。これは実験動物の、退屈です。
「 × × × ? 」
いいえ。ボクは了解しています。こんな、少なくとも、彼を呪うのは長続きしなかった事実が、ボクをくいとめたんだってことを。
「 × × × ? 」
はい、ボクは行くことはできません。この先はどうかもっと注意深く、気をつけて進んで。さよなら。




