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僕は恋をした






 僕は一人の女の子に恋をした。それにより僕は以前よりだいぶ親切な心を持つ人間になった。

 僕は彼女の周りにいる人々に対して傷を付ける。そうすることに今の僕は何ら躊躇いを覚えない。

 前までは大切だった家族にかんしても同様だった。もうそんな必要を感じないので口も一切利いてない。

 飼い猫の世話ももうしない。ふわふわ漂う毛が邪魔で仕方がない。

 学校でも誰とも会話しない。教室の床にクラスメートの落とし物があったとしたら、必ず僕の室内穿きはそれを踏みつけた。



 夜遅くに部屋に帰ると、僕のベッドの上には猫が丸まって寝ている。昔からいつも決まってそうしているのはこちらも記憶しているのだが、それにしても僕は少し不思議に思う。ここのところの僕が見せた変化にかんして思うところがないわけではないだろう。手で確かめてみる。もちろん僕のベッドは冷たい。

 猫が弱く鳴き声を上げる。

 細く開いたドアから入る明かりの中、顔だけがこちらを向いているのが見えていた。

 僕たちは、少し似ていた。









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