317/618
うつくしい俺
俺は化粧しなくてもうつくしい。彼女らとは違って、身も心もうつくしくあり続けたいと思う俺は、うつくしい。俺は可愛い。たとえユニクロでしか服代を使っておらず、加えていえば同じシャツを四枚買うような人間だとしても、俺という人間が貧者だと世界中からいわれたとしても一人だけは同意しない、俺が違うというから違うんだ。俺はうつくしい。俺という存在は始めから終わりまでうつくしいのだとしっかり定められている。定めたのは俺、そして俺の魂。
ネクタイのやり方を忘れていることがあるし、バスの運賃でまごつくことがあるし、ゲームの話題になれば全くついていけない俺だし、彼らとは違って今日も俺は独りで呼吸を続ける。俺は本当にうつくしいままでいれてる。その理由は俺じしんにもよく分からないが、俺はうつくしい。理由も説明会も不要だよ、俺はうつくしい。俺はあいつらみたいになる必要がない。素晴らしい存在のようになる必要すらない。俺はうつくしい。他人の存在など関係ない。誰も気づいている人間はいないとしても、俺は分かっている。
うつくしい俺。




