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「撃たないで、止めてくれ」


 彼は何度も何度も叫ぶ。両の手を振り回し、堪えきれず涙を浮かべて。

 だけど、実は今日じゃないのに。危ないものは何も持ってやしないのに。


 撃てる時には撃たなかったオレ。

 そのことに彼のほうは気づいてくれなくて、気づこうとも思ってくれなくて、並んで歩く彼にそれでも最後なんだからと笑い顔を向けてて、でもあの日オレは撃たなかったのに。


「頼むって」


 オレは彼の幻想を破らず、言葉も発しない。

 そうだ、彼はオレを悲しくさせるだけだったから。彼女たちと結局は同じだったから。


 オレたちは二人して悲鳴を上げる。










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