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耳朶






 遠い過去と呼んでも差し支えない、修学旅行の夜、内緒で噛んだ耳朶。

 あのびっくりするぐらいの不味さを、今時分になると彼は鮮やかに思い出す。

 いつも同じ理由からだった、誰にも漏らすわけにはいかないけれど、十一月の彼が苦い実を覚悟もなしに口に入れた人のように顔をしかめている、その理由はいつも同じ。いつも同じ耳朶。


 とっくに彼はこれにかんして諦めがついている。

 他は消えて耳朶しか残らないだなんて、悪い冗談みたいだと思いながら。


 しかし今日、彼は思う。

 それにしても俺の口の中に毎度広がる、耳朶の味は右のなのか? 左のなのか?

 そんな、それこそ悪い冗談みたいな考えに耽っている彼でもあるのだった。










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