神社
僕は昔、神社で練習をしていた。
何の練習なのかについて、彼に詰問されても僕はいえなかった。決していえなかった、じぶん自身にさえもそれがどういうことだったかをいえない。本当のところ、一体そこで何をじぶんはやったということになっているのか。何のためにやっていたのか、誰のためにやっていたのかも僕にはいえない。
僕がもし、何を思いながらそれをやり続けたのか少しでも思い出せたなら。
だけど、いえずじまいでこのまま終わりそうだ。僕はこれを綺麗な感情だと思っている。夢のなかでしか歩いたことがない砂漠のようで。
僕はその頃には神社に行っていた。夜遅くに家を抜け出して。
この先色々あるだろうと、きっと当時の僕は感じていたのだろう。備えなくてはと。
その頃僕は若くて、多分何かやってないと落ち着かない気持ちになっていた。
どうしようもなくて、神社に行って、練習をしていた僕。
じぶんがやっていることが何なのかよく分からなくて、でもそれをやるしかないということ。
昔の僕はずっと神社で練習を続けていた。夜な夜な一人で。
僕が今のような存在ではなかった頃、若かった頃。




