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俺たちだけの物語






 彼の文学的資質は恵まれたものだったのかそうじゃなかったのか、それはわからなかった。俺にはそれがわからない、他に誰もいない、彼の書くものを読むのは俺だけで、かなり、俺がわかってないといけなかった時、彼は側にいた、でも俺はよくわからなくて、俺は彼の才能もセンスも好きだったなのに俺は自信を持てとか、ネット上に公開しろよとか、上を目指した方がいいだとか、いちどもいわなかった。面白いというばかりで。

 彼は俺だけの作家だったんだ。

 俺の前からある日彼はいなくなって、俺たちも大人と呼ばれるものにどうやらなって、でも今も変わらず俺の気に入りの小説は彼の書いたものだけ。彼が完成原稿を全部くれた日から、俺は読むものに困らなくなった。

 俺は何度も何度も彼の彼だけの世界を開く。

 自分ではなかなか気づかないでいたけど、ひょっとしたら彼から見た俺は、始めからそういう存在だったから、だから、彼は笑ったのかな、だからだったのか?

 俺は彼の忠実な読者、彼だけの読者だった。










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