しけった話

猫

　彼女にガソリンを入れ、休憩所と彼はいちゃつき、高速道路に腰を下ろし、怯える心が延々と頭を運転するなか、代わり映えしない景色を眺める振りをして窓に映る彼を欠伸は見つめ続け、助手席では彼女たちの子供時代がこごとをいい続け、どうにか暗くなる前にホテルが二人を発見し、そこで愛の定義を停め、受付カウンターで彼は実家の鍵を受け取り、服を脱いだベッドが彼らの上で長い溜息をつき、彼の瞼を心優しい猫の動作でもって揉みながら、この夜が彼女と彼にとっての最後の夜になることであろうとテネシー・ウィリアムズが請け合ってくれる。