青春とは
わたしの心、わたしの心からの拍手をタクシー代わりにするのはいつも同じ顔ぶれの男子たちだ。
青春とは何か? 二度と顔を見せなくなるということ、それを青春と呼ぶ。そこに尽きる。どんなに見たいものでも必ず見られなくなる。または、あまりにそれがじぶんにとっては見たくないものであり続けているからこそ見たいと思うぐらいなのだが、それでも必ず見られなくなる。等しくそうなのだ、これがずっとわたしにとっては救いだった。中学二年の時同じクラスにいた男子全員、二度と会わなくて良くなる。わたしはじぶんに何度も何度もそのことをいい聞かせていた。今ごろ全滅してくれているはずだ、大丈夫、とわたしは今もベッドの中でいい続けている。大丈夫、もう大じょうぶだ、と。
なぜなら、もう過ぎたことといえるにせよ、後遺症は避けられないから。
夜、時々わたしは感じることがある。
わたしはわたしの心、わたしの心からの拍手がタクシー代わりにされているのを部屋にいながらにして知る。
彼らはいつもの同じメンバーの男子たちだ、今は存在しないと彼ら自身が思い込んでいる男子たちがそれをやっている。
あいつらは昔から同じことをずっとずっとやっているのだ。
永久に繰返していたって何とも思わないのだ。
そしてこんな夜には、わたしはいつも思うことをまた思う。彼らが死ぬより先にじぶんだけは死ぬわけにはいかない、と。
目にするまでは絶対死ねない。
その気持ちは年を経るごとに、一層強くなっていく。




