シャツと汗と部屋
少年たちは互いにそれぞれ相手のシャツに手を掛け、同時にボタンを一つずつ外していった、笑みを漂わせることはなく、無言のまま。緊張と焦りを表に出さないようにしながら。
どちらも上に白いシャツ一枚しか着ていない少年たちだった。
向かい合わせになるように動いたことはすでに刻まれていた。
しかし本当にたくさんの問題が少年にはある。
全体、床に座っていただけの体勢から、二人のうちのどちらが先に相手の躰に向かって手を伸ばしたのか、始めたのはどちらだったのか、というところは、現時点で問題視されたりはしない。
少なくとも少年たちにとってはまだ、全然それは気にするところじゃないのだった。
なぜならいつだって、一番に問題となっているのは、時間だから。
一秒一秒が二人の少年のどちらにとっても、大変に大きな一歩だ、ということがあり、指の震え自体もそうだが大きすぎる胸の鼓動、いつの間にかスピーカーから響かなくなっている音楽が二人ともにある後ろ暗さを示していた、ということがあり、だから少年の手は汗ばみ、だからその汗の匂いが今あった、その色が今あった、部屋の隅々まで避けがたく広がっていくものがあるのだった。際限がなかった。
こうして二人は結局、タイミングを合わせられない二人で終わった、はらりと日曜日が下に落ちた。




