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重さを知る






 体重計に乗ったところまでは良かったんだ、彼はそういった。



 姉があの日まで、体重計に乗せようとじぶんに手を伸ばしてくる大人たちをかわす様を、弟のオレは黙って見ていた。

 でも学校はそんな姉を怒った。

 学校が怒ると、家も姉のことを怒った。

 すぐに済むことだって、国がそういった。

 事実それはほんとにすぐ済んだ。

 ただ一人、そこでオレだけがさっぱり分からないでいた。じぶんの足で体重計から降りて、脱いだ靴下を穿くべく靴下を手に持っているそれが誰なのか、オレには見極められなかった。

「お姉ちゃんどこいった?」



 その日から姉だということになっている、彼の質問に対し何かひとことでも声を発したことはこれまでのところ一度もないそいつは、弟を見るといつも黙って微かに笑みを浮かべているのだという。

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