表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
268/618

半信半疑






 いつ帰ってくるのか、どうやって帰ってくるのかも分からない人、ほんとうに帰ってくるのかそれとも二度と帰らないのかも分からない、その人を待つ理由、ここで待ち続ける理由など冷静に物を考えるということができる人間であれば一つとしてないことくらい理解できるに違いない、ただ帰ってくるとしたらここで、でももちろんあらゆる可能性を考える、ここ以外のどこか他の場所の可能性もなくはないと考える、ここに帰ってくるまでの途中地点で力尽きていることも考える、倒れたその躰を抱き起こして連れ帰ってしまうその二つの腕の可能性も考える、考えたくはない、危険なまでに軽くなったその躰が運ばれる先は粗末な住処、かいがいしく世話をされ回復していく、その目がようやく開く、ずっと開いているようになる、声が出るようにもなる、笑うようにもなる、心から安心して眠りに落ちる、でも依然として悪夢にうなされる、すると手に手が置かれる、眠る者の手は支えを必要としその手にすがる、眠る者と眠らないで側にいる者の触れ合いは偶発性によるもの、だとしてもときに愛が生まれてはならないところに愛が生まれていく、という可能性を考える、ここで考える、考えたくはない、ここでずっと帰りを待ちたくもない、だが結局何一つ終わりはしない、ここで帰りを待つ以外、選択肢はないから。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ