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先輩が俺にいったこと






 仕事場の先輩がなやむ俺にいったことがある。少しだけ噛みちぎるんだと。何をしたって全てのことは大音量のさよならでしかない、いい思い出になるって。先輩はいった、だから尚更誰の背中だって見ていろ、誰の何だって、どんなものだって目にしろ、コンパクトな嫌悪感、コンパクトな隣人愛、素晴らしい、平たい、この最低な世界を濡らしているだけの涙の量と等分の悲しみ、置き去りにされる銅像たちの声も振り切っていけばいいって。


 何をやったって、そのことをどれだけやれたとしたって、少しだけだ、そう先輩はいっていた。お前なら保とうとするな。頼むから、お願いだからどうにかやり終えるだけの強さを求めてくれ。どこへでも行け、いいんだ、どこへでも行け、どんなものも瞳は映すから、あれこれちゃんと映すから。いいから行け。


 先輩はいった、誰のことも待ったことはない少年たちが聴いている歌を持たせてあげようという誰かなら余計置き去りにしてよし。迷わず忘れ物コーナーへと辿り着くための躰だから本当もう全然よし。


 震えないでいようと努めながら、愚かさを脱ぎ、誤魔化し笑いは裂き、さっと拭ってさっと行け、いいから行け、待たずに行け、そう先輩はいっていた。

 先輩が俺にいったこと。

 総合すると、先輩がいおうとしていたことっていうのは、こうだ。お前は行けるから行くんじゃなく、行け。

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