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古い夜






 今夜もまた何も生まずに過ごしてしまっていた。本一冊、映画一本もそもそも選ぶという段階から困難な作業になっている夜。無為な、ただただ流れていく時間だけがこの部屋にあるようなものだ。部屋を借り、家賃を払い、だがその金を出すために玄関から毎朝飛び出していって暗くなるまで帰ってこないその男は、本当は部屋の主ではないのじゃないか。それで済むどころか、人生の本当の主を喪くしているとさえ考えるべきかもしれない。

 ここに救いの手は来ない、絶対に。











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