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白く行く
これは丸っきり、真夜中の町に飛び出した一個のトイレットペーパー。それは錯乱状態に陥った、あの家の奥さんが金切り声とともに放り投げていたようなものではなく。
わたしはそうして転がっていく、夜に。白く、道路を行く。世界に踏みつけにされながら。それでもやっぱり、あの人の生きる町まで。何だか今夜とても行きたくて。
白く行く。この行き方はとても危険で、ばかげていて、どこまでも孤独だ。
わたしは冷静な朝の光というものをこれまで百ぺん恐れたのと同じように、今夜もまた、恐れる。他者に見えうるじぶんの姿というものを、わたしは恐れる。
でも、それだからこそむしろ、今こんなにもわたしは白く行くのかもしれなかった。




