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眩暈の師匠と弟子
おれら初心者からすればそれは、どっちがどっちか分からない、おかしな師弟関係だった。
つまり、いつまでも彼らは二人きりで、そこでよろめき、おそらく当人たちでさえ、瞬間的には、どっちがどっちだか分かってなさそうにおれらには見えていた。
うちの学校の女子ならもちろん無理解な態度をとるし、一部の男子からさえ理解されない二人だ。
眩暈の師匠を持った弟子の香ばしい幸福も、弟子ができるとは想像もしてなかった彼の柔らかな幸福だって。
たびたび、男子二人が幸せそうに倒れているところが目撃された。校内でも、校外でもだ。
一体何をやっているのか。
周りは口を揃えてそういった。
本当のところ二人のあれが、眩暈かどうかでさえもおれらの当て推量に過ぎないのだし、仕方がないのかもしれないけど。




