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捨てたい彼女
彼女は捨てる、むしろ捨てられないでいるほうを見きわめて捨てる、捨てられない彼女を彼女が捨てればいいだけ、彼女は捨てている、彼女の願いを先に捨てている、彼女は破り捨てる、彼女はあれはもう捨てちゃったと友人たちに幾度となく告げる、彼女は洋服を捨てる瞬間を想像しながらそれを着ることも好んでいる、どんどん捨てている彼女になっていくのがたまらなく快いのだ、捨てるというよりかはもう少し正確にいうなら捨てられる彼女でいることをだ、彼女が捨てられない彼女は続けたがっていた彼女だ、結局やっぱり彼女を捨てるのは彼女ではないのだと屑入れかごのところで彼女は今じぶんが何を捨てているのかよく見もせずに呟く。




