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無痛
僕にはもう、これが何なのかも分かってあげられない。これは何の音なのか。これが何なのかを思い出そうと努めていることしかこの場所ではもうやることはなく、僕がそれをしなきゃいけない気もしているのは確かだ。
だからここにいる。
たまに君が来た。
というよりは、いつの間にか、君はいて、あるはずもないからきっと君がわざわざ持ち込んだ椅子に、君が腰かけてて、僕たちは挨拶を交わさない。
僕たちは僕を濁すような、そういうことを一切避け続けてる。この躰から、いかなる意味の言葉も抜け落ちてくることはない。
これが、この白い場所で起きる全てのこと。




