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無残
誰のか知らないが、大きな手がある日僕を開けてしまったんだ。
きっと、夜のあいだ僕は破けてしまってたに違いない、そしてあの勤勉な蟻たちによって、一夜のうちに僕の一部は、奪い去られて、翌朝の光の中ではピースが、見るに耐えないぐらい足りていない僕がそれでも僕を脱げなかった、あれから今日までずっと僕は変われていない。
いつの日か、僕は暗い穴へ行かなくてはいけない。
行って、探して見つかるものではもはやないんだと僕はそこで一人、つぶやくことになる。無残な人生だと。
この胸に空いている穴。
何を食べても何を見ても普通の人々のように感じたりできない。誰もいない世界を僕は歩いているんだ、そうとしか、僕の言葉ではこれを説明できなかった。




