ミス
彼女は同意を示す、そして彼女は湿っている、彼女はいつでも湿っている。
そこでの彼女は間違いなく彼女ではない誰かになるのだが、それなら彼女とは一体何で、誰のことをいうのか。容易く他者を許容しようとする場所であるこの女。
しかしまた彼女じしんも、許容するじぶんが自分でないような感覚に陥っているということ、繰返すということ。
彼女はいつも、気づいていながらこれをやる。
可能性としてはこういうことだろうか、そこでの彼女はうまく物を考えられなくなるし、彼女じしんがもう彼女であるということには耐えられないと予測がついているからこそ、咄嗟にそこで遮断している、彼女に起こることは、大部分は、そうなる前から彼女にも感じられているからこそ、彼女はもしかしたらすぐに、傍目には簡単に、それに同意してしまうのだ、と。
本当にそうなのだとしたら、ずっと目を閉じたまま手を動かすことが、最悪の場合は両手とも捕まってしまうことこそが実は最善の道だとさえ彼女は捉えている、こういうことになってくる。
どこにも辿り着かない状態に向かうことが、どこにも目印を見つけないままに進み続けた、悲しいまでに愚かな彼女であることが。




