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駐車場






 国内外問わず、どこの駐車場ででも険悪な雰囲気を出している親子を見る。私には子どもがいない。そこもきっと大きいのだと思うが、親にそのまま駐車場に置いていかれそうな子どもたちを見るときはいつも、昔のじぶんを思い出す。胸が静かになる。



 熱くも冷たくもない子どもだった。幼かった私はどこへ行くにも本を持っていった。いいところで本の中から出なくてはならないのには本当に嫌な気持ちがした、両親の声が聞こえない振りを昔はよくしていた。

 ようするに一見したところでは、両親のことを邪魔もの扱いしているようにしか見えない少女だったわけである。



 私の服を新調するため、あるいは父が父親らしい気分を味わうために私は乗りたくもない車に乗せられ、行きたくもない場所まで運ばれた。

 本さえあれば何も問題は、といいたいところだけれど、車酔い、あれは本当にあの頃からずっと私の敵だった。

 駐車場に置いていかれそうになっている少年少女を見るにつけ、私は彼らにじぶんを重ねる。

 かつてじぶん自身が考えたことがある考えを、今でも思い出せる。

 そうしようと思えばそうできるんだと見せつけるために、車がスタートし、親に駐車場に置いてきぼりにされた私。何冊かあれば待つのも苦痛ではないだろうか。さすがに一冊ではもたない。

 少なくとも、内面的に私は熱くも冷たくもない子どもだった。



 大多数のひとがいうように、幼い子どもだったじぶんのことなんて、とっとと記憶から消してしまったほうがやっぱり気分は楽になるのかもしれないと毎回、同じことを思いながら、私は駐車場を後にする。











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