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恋人失格
正直な話、何もかももう、あなたの背中さえあれば事足りる。そういったらひかれるかな。
俺は毎日あなたの美しい背中で顔を拭き、会社へと出掛けてく。性的な欲求さえも満たされる。ユビで書いて、あなたにちゃんと言葉を伝える。
心が傷ついた時は、黙って手を置く。
いつか俺は、結婚の紙もそこの上で書くに違いないと思う。
でもペンの先がくすぐったいからといって、とても重要な日に波を立たせているあなたは俺たちの机失格だ。そういったら、絶対怒って出ていくよね。
あなたが美しいかどうかは知らない。ただあなたの背中は美しい。
ユキが融けている様をいつまでも眺めていられたらいいのに。
俺の涙で汚されるあなたの美しい背中。
全部どうでも良くなっているともいえる。
あなたの熱い背中の味。
ユメみたいに、悲しみの始まりみたいに。




