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わたしの間違い






 この頃、手持ちのCDを片っ端から聴き直している。中でも驚いてしまったのは『まばたき』。YUKIの。



 このアルバムの収録曲で、さよなら容疑者は煙を吐き背中押してくれた、とずっとじぶんが理解していた箇所があったのだけど、それはこちらの勘違いだった。



 昨日ようやく気がついた。容疑者じゃなかった。夜汽車だった。









 前提からしてもちろん間違っているのだ。

 夜汽車か。でも、ああ、そうだったのか、なんだか普通じみた歌詞だななどとわたしが考えるというのはおかしい。



 そこはYUKIに謝れと自分でじぶんに突っ込んでおくとして、当然、ずっと続いていた聞き間違いから発生したこのスケッチは破ったりせず頭の隅に置いておくのも私の勝手だ。

 容疑者。



 個人的なあの曲での歌詞世界においては、その人は手だけの容疑者だ。背中を押されるほうは、若い女子だ。



 今考えていて何となく理解に至ったが、誰かを容疑者扱いしておいて、実は大きな間違いを犯してたのはこちらのほうだった、という展開そしてストーリーにおいて、主人公を常に女性に設定したり考えたりするのは、わたしの癖だ。



 いかにも若さの、女性のストーリーらしいそれは情景だとわたしはどこかで思っている。



 ずっと容疑者だと思っていた彼。でも違った、それどころか、こちらの迷いを見透かしたように最後、ドアが閉まっていくあの時、彼は彼女が必要だった本当の言葉をくれた。

 彼女だって本当は、そもそも前は彼という人が好きだった。

 でもあんなことがあって。

 だからそれは消した想いで。

 裏切ったのは彼のほうだってずっと思ってた、そのどれもが全部間違いだった、裏切ってたのは結果的にはじぶんのほうだった。



 あんなに好きだった人のことを信じる強さを持てなかった、なのに、彼は別れの時まで、彼女に対して変わらない優しさを見せる。あの出会いの瞬間にまで巻き戻したみたいだった。

 しかし二度と取り返しはつかない。若い二人にはそれは決定的な終わりをも意味している。



 煙草の匂い。ぶっきらぼうな本当の優しさ、その手の温もり。女子学生の愚かしいまでの若さ。そういうストーリー。









 わたしは、誰かの捨てるそれを拾う。

 わたしじしんの手で捨てたものさえもわたしは、あとになって道を引き返し拾いに行っている時だってあるぐらい。

 大切にするとも大切にしないともいわずにわたしは、それを抱えて一人夢見ているように、半ば目を閉じている。ここでいつも。

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