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馬車
「じぶんの馬車で」
自らメモしたはずのことなのに、幾度目を通しても、頭を悩ませていることしか先程からわたしはできていなかった。
必要性?
数えたくもない?
こういうことを繰返して生きてきたわたしを、また繰返したくない?
感情はごみ。頭の中はごちゃついていて、分からなくなってきて、でもこれに何かを感じた心があったこと、それはまた、感情とは別な問題のはずだ。
「じぶんの馬車で」
どこかへ行くつもりがあるのは、分かる。見える気もする、馬車に縁遠い暮らしの少女。
おはなしの中でなら見送ることはしてきた姿。
魔法、魔法使いの存在が感じられる。
訳より大切だったり、大切じゃなかったり。大切にする気がある。
そして、夜。その外気の匂い。
「じぶんの馬車で」
ああ、気に入らない。破り捨てたい。でも思い出せたらいいな。
「じぶんの馬車で」
ああ、この小突き屋さんったら!




