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居場所
私はそこにいる。だから何かが生えてこようとしている、私のせいで。
そうして私はだからこそ窓の側から離れるという選択肢を持てない。私はずっといる。私はその内側にいて、小さな窓から精一杯覗いている気になっている。
土の上に降り注ぐ数多のもの。
陽光、優しい彼の視線。
彼の手から滑り落ちていくもの。
私には手の届かないものが世界にはたくさんあるということ、私はそれを知る、それを知っても尚私はそこにいて、いたくていて、私がいるべきところに私はいて、私はそこで待機の状態を保っていた。
私はそこで多くを学ぶ。
いつか、私はそこにいたじぶんを羨むことになるだろう。
そこにいた私は間違っていたと、いつか考えることもあるだろう。
いつかは私も、他に行きたい場所などどこにもないと考えていた、そこでのじぶんがどれだけ小さかったかを、思い出せなくなるのだろう。




