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彼女と彼の物語
彼は誤解をして、彼女は誤解を解こうとする、彼一人の作ったものだと彼女だけは考えてはいけない誤解、しかし決して彼女には理解ができないそれは誤解だった、それは誤解だ、とひとことでいえたのなら女も男も苦労しないし、そうなのですかこれは誤解だったのですね、分かりましたの返事を貰えるのなら争いごとのないそれは世界、別世界だ。ここではない、違う部屋で起こっている、彼女と彼ではない、彼女と彼の、そしてきっと彼女が目の前にすればどう扱うのがいいのか分からなくなる類いのそれは物語、今ここにあるものとは遠い別の物語なのだから。




