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場所と値段






 心臓の見極め方を知らない。無害を知らない。有害を知らない。いつ六月が終わるのか知らない、いい六月なのかどうか知らない。

 広告オフを知らない。共食いを知らない。ミサンガを知らない。大人しく手を前に出しそしたら何が起こるのか知らない。さるのこしかけ、やめどきも、丁寧に書く断りの手紙も知らない。

 母親を知らない。

 おれはほんとうに何も知らない、この目が映す何も、人間のことも物もちゃんとは見えていない、誰がいるのか、誰かいるのか。ほんとうのところ、ここはどこなのか。これはどこのことだと思っていたらいいのか、じぶんがどう思っているのかも。

 おれは知らない、おれは抵抗を知らない、おれは混ざりあっていくときのことを知らない。野暮、ブレスレット、犠牲者づらを。どうしてなんだろう、おれは彼の寄越す詩集が匂っていようがいまいが、たどり着かないのだ、としか思わないし、おれは咲きそうなこと知ろうとも思わない。いつもだ。

 いつも見向きもされない心の価値など知らない、おれは知らない、姿勢を低くして、じっとしてることしか知らない、僅かな銀貨、誰かが逃げ出す季節がまた、巡り巡って訪れるんだろうというそれぐらいのことしか。











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