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AIR
おめでとう、今日がだれの誕生日なのかおれは知らない、きみの誕生日がどこにあるのかも知らない。
それでも、おめでとう、ここは地獄ではないと、いうことをおれがきみに最初にしたいだけなんだ、一年に一度。
いいたい、きみに、おれはだから、おめでとうと、きみはきみのまま、おれもおれのままで、一年に一度。
この場所は地獄ではないよ、実は最初から地獄にいるおれがいう、地獄ではないんだ、きみのこれからは。
花を口のなかに静かに入れたまま両の目を閉じ、おれは、おれのプロトタイプで溢れている世界を美しいと思う。




