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 人にはひとつ窓が必要。もはや僕がいるここが廃墟で、美しいといえないとしても。ガラスが割れているとしても。



 こんな僕の窓の外にあるのは、枯れ木と静かな雲と青さ。

 僕の息がそれらを汚す。

 実際僕の息は殆どのものを汚してきたし、ひとつひとつを汚すしかないというのも理解できている。



「せめてここまで来られた私たち二人の足にキスを落とそうよ、家の面汚し、そんな声に、そんなふうに瞳を閉じないといけないのこっちだって分かってるよ。そうやって、ねぇそれでもだから、これまでがあったから、だからちゃんと来られた、そうしてこの足でまた行くんだ。私のことさえ置いていく足でもあるのかも。だとしたって、いいんだよ、約束のキスとかいっこも不要だよ。バースデーソングとは無縁の私たちを、ずっと忘れないでいられる自信がある。でもせめて、耳飾り半分奪うみたいに、奪わせてね。私たちのこの足にはいちどキスが落ちたんだって、思い出すことで私は、奪いかえした気になるの」



 目を閉じていると僕は、彼女の存在を感じる。

 目を開けていると僕は、何もない日々を生んでは壊しつづけてる。

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