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あなたといると
あなたといると、僕は蚊を好きになれる。あなたといると、僕は見て見ぬ振りだってできる。
こんなふうには、黙って殺されてくれないこと、でもだからあなたなんだ。あなたのやり口が、いとおしくてたまらないと、僕は声に出していいさえした。あなたがこの世界に存在するのを思いさえすれば、僕は夜中に現れる蚊を好きになれそうな僕になれる。僕にはあなたを殺せない、その分、蚊を白い壁に追い詰め空のペットボトルで押し潰す。僕はあなたといると、今まで憎悪しているしかなかったいくつかのものを許せるじぶんを見ることにもなっていった。少し悲しい気もするけれどね。僕の胸にいつもある、この衝動。




