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普通の供給者
あたしには普通のものがとてもよく似合う。
というのは、普通の教科書と、普通の限界と、普通のエモ、それから普通の心無いことばにたやすくやわらかくなるここの普通が今あたしはとても嫌だし、それから普通のスーハーと、普通のぜえはあと、普通の蛇口、普通の体育座り、普通の沈痛な表情、普通の殴らず済ませるやり方を、普通の刺を、普通の女子の口答えを、普通の汚しがいのないハンカチーフを、普通の一学期を、普通の磁石を、普通の高校生の歩き方を、あたしは持っていた。
これらのものを、あたしは普通の顔で、普通の持ち方で持っていた。
うっかりではなく、持っていたあたしとあたしのやり方で、ずっと持っていた。
普通の供給者。
異常という言葉をうちのママは持たせてくれないんだ、普通という言葉を持っていきなさいって、それが毎朝ママの口に出していうこと。
でも、あたしはきっと口に出していわれることばを信用する人は好きにならないと思う。
ほら、今日も普通教室に充満しているれいのあれ。
あたしが供給しているものは多分だけど、きっと、幸せな光には程遠い何かなんだ。




