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瞳を怪鳥たちに喰われてもそれでも少年たちは
ここには、唇だけで辿り着く者たちもいたし、小指だけの姿になって到着した者もいた。片耳だけで辿り着く者、舌だけの者、膝だけしか残っていない者も。
決まって最初に目をやられる、最初に怪鳥たちに遭遇した時点で一番大切なものを喰われることになる。
皆、鼻や皮膚に当たる風の感じでしか進む方向を決めるしかなくなり、傷だらけの手で地面や木や行き止まりの岩山に触れ、どうにかこの場所まで辿り着こうとする。
この、約束の場所を目指して男子たちは進もうとする。変わり果てた姿かたちとなって。
じぶん自身の思いであったはずが、それも今となっては別の誰かの物語のように遠く、じぶんのことのように思えなくなっているとしても。
ここには胸だけで辿り着く者もいる。
肩だけしかない者、かかとしか残っていない者もいる。
掬い上げる手は存在しない。今更な男子たちの、伝わらないありがとう達に、伝わらないごめんね達に救いはここにも存在しない。
この醜く、損なわれてしまっている者たちに、ここではただ青い空と優しい雨がいつも同時にもたらされていた。




