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白い男






 女が寄ってきて男に微笑みかけた。

「どの色かお決まりでしょうか」

 棚に並んだものたちを熱心に見ている彼、見られていなくとも笑顔を全開にしたままの女。

「ええ。というか」

 やはり俺には白しかないみたいです、と男の声がなぜか自嘲ぎみなのが女には不可解だ。でも笑顔は引っ込ませない。

「白い男ってどうなんでしょう、その、異性からすると印象的に」

「とても清々しくていいと私は思いますよ」

「そうですか。でも俺もいいように思えてて、白っていうのはやっぱり。これからはもうずっとただ、汚されてくだけなんだから、白い男でいくのもいい気がして」

「素敵。素敵なお考えをお持ちなんですね」

「でしょう?」

 男と女性は笑いあった。



 けれども、それから二日と保たなかった。

 この白い男は、白くもなくなり、さらに男でもなくなっていた。汚物と間違われてしまうとしても、仕方ないと当の彼すら感じられるところまで白い男は汚染されていた。

 減らない醜さを隠そうとはする、けれど時おりわずかに吹く青い風に彼は微笑み、彼が微笑むと、空いた穴から無意味なあのクイズがまた始まる。













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