表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/618

料理する人しない人






 僕はひとり暮らしだ。

 だがじぶんのためだけには料理ができない。

 僕は料理しない。

 僕は祈る。






 彼女は、祈らない。

 彼女は彼女の現在を作っている人々にかんしても、自身のことも本当の意味じゃ守れやしないことを知っていた。



 彼女は、だから毎日料理をするのだろう。

 僕たちが知ってる彼女はとても料理じょうずの女性。



 歩いて海のちかくまで行くと腰をおろして毎日小一時間ばかし、そこで祈り以外の何か、祈らない彼女が何かをやっている様子を町の人々は目にした。



 毎日ちゃんと彼女は家に帰る。

 彼女はあの大盤振いの笑顔で、あのいってらっしゃい、あのおかえりなさいをアガサのお茶会をしている、ありふれた成長途中の僕たちにも降らせたのです。






 ただ一つ、僕たちに語ることができないものは真昼の暗い部屋で開いている大きな花のこと。

 あの名も知らない、けれど何か毒々しく開いている花のことだ。いつも僕たちが学校に行っているあいだ何を思っていたのか、いつか、闇の中で訊ねてみようと僕は思っている。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ