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残酷な俺の仕事  作者: 今晩葉ミチル
馬上の騎士たち
48/91

47.後始末

「ちげぇよ。なんで俺がシュネー王女を助ける?」

 スバルは苦い想いで返答した。王城の大広間で猿芝居をした記憶が蘇る。

 敵国の王女であるシュネーをかばったと疑われ、国王を前に大嘘をついたのだ。その場でシュネーと共に殺されるのは免れたが、怪しまれてしまったのだろう。

 ギルバートにも、顔に嘘だと書いてあったと指摘された。

 根が正直なのが災いしている。

 クロードは、スバルの表情の変化を見逃さなかった。


「お人よしの君の事だ。同情したんだろ?」


 クロードの指摘に、スバルは眉を寄せた。

「誰がお人よしだ。だいたい、同情で命かけるかよ!」

「じゃあ、変な仲間意識が芽生えたのかな。違うと言うのなら、彼女の首をここに持ってきてよ。簡単だろ?」

 村人がざわつく。互いに顔を見合わせて、囁いている。

 

 まさかあの女の子……。

 黙ってろ! 殺されるぞ。

 

 村人の反応は、クロードを確信させるには充分だった。

「シュネーはここにいる。スバル、君が村と共謀して隠している」

「……なんで俺がこんな村と」

「シュネーを大人しく差し出せば何もしないつもりだったけど、彼女の首を持ってこれないんだね? 残念だぁ、僕はこの村を滅ぼさなければならない」

 クロードがわざとらしく溜め息を吐く。その目は笑っていた。

 村人が悲鳴を上げる。

「なんで!?」

「儂らが何を……?」

 クロードは口の端を上げた。


「そもそも、獣ふぜいがシュネーを逃がさなければ良かったんだ。獣ふぜいの罪は重い。そんな彼を排出した故郷も同罪だ」


 馬上の騎士は銀の槍を握りなおす。他の騎士達も狼をつつくのをやめて、村人たちと向き直っていた。彼らの闘志に反応するように、馬がいななきをあげる。

 そんな時に、馬上の騎士達の前に躍り出る少女がいた。


「待って! 私はここにいる」


 透き通るような声が響き渡る。シュネーだ。白いフードを外し、夕暮れに銀髪と猫耳をさらしていた。

「私はここにいる。大人しくついていくから、村には手を出さないで。村は何も知らない!」

 よほど慌てて走ったのだろう。肩で息をしている。しかし、その声はよく通る。


 だが、クロードの心には響かない。


「ああ、シュネーとよく似た化け猫だ。高く売れるだろうけど、シュネーじゃない。そうだよね、スバル?」

 スバルは苦虫をかみつぶしたような表情になる。

「……シュネー王女がいなくても、村を滅ぼす気だったのかよ。おかしいだろ」

「そうだね、おかしいかもね。じゃあ、君が責任を取ってくれるのかな? シュネーが逃亡した責任を。誰かが後始末をしなくちゃいけないんだ。全ての罪をかぶるのは、君がいいかもね」

 クロードはおどけた口調で言っていた。

 次の瞬間に、クロードの馬が大地を蹴り、スバルへ突進していた。

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