表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残酷な俺の仕事  作者: 今晩葉ミチル
馬上の騎士たち
46/91

45.心配

 いつの間にか夕暮れになっていた。外から赤い光が差し込み、木の板でできた床や丸太でできた壁、鍋を囲む四人がやんわりと赤く染まる。レーベン村の住民は畑仕事を終えて、家路に辿る頃だ。

 老人はケラケラと笑う。

「ちょっと長く話し過ぎたかの。畑仕事をさぼってしまった。もうちょっと話すとな、ディーザ配下の王族直下特殊部隊は一つの部屋に集められて、ディーザ王子からこう言われた。俺達は国家を動かす歯車でなければならないが、その歯車から外れる事を特別に許すとな。王子にも思う所があったのじゃろう」

 老人は再び笑った。

 シュネーは涙目であった。銀髪のてっぺんにある猫耳が垂れ、どことなく悲しそうだ。


「ギルバート王子はいい人なのに、戦わされているのね」


 ギルバートは、恋人の魂が壊される危険にさらされている。一度壊された魂は二度と元に戻る事はない。魔導士ならその恐ろしさは分かるだろう。

 心優しい王女には胸の痛む話だったようだ。

 しかし、スバルはあぐらをかいて、あくびをする。眠たくなっていた。


「あいつはいい人じゃねぇよ。反乱軍と無理やり戦わされているのは初耳だが」


 黒い服を着崩しているのもあって、だらしなく見える。

 村娘のリンは呆れた。

「自分の主の話なのに、そんな態度だなんて」

「どうでもいい。どんな話を聞いていようと、俺はあいつに従うだけだ」

 スバルはあえてそっけない態度を取る。リンを相手に本音を語る必要はないと思っていた。

 しかし、シュネーには見透かされたようだ。

「スバル、あなたは本当は不安だったでしょ? ギルバート王子が何を抱えているのか知る事が。だって、おじいさんがお話をしている間はずっと集中していたもの」

 スバルは心臓が飛び出そうになった。なだめるのに時間を要した。

 その時間が、シュネーを確信させる。

「隠さなくていいわ。あなたとギルバート王子は仲間だから、心配になるのは当然よ」

「心配してねぇし……」

 スバルは呟いた。消え入りそうな声だった。

 シュネーは首を傾げた。

 その様子がおかしかったのか、老人は笑った。


「男は語らないものじゃ。シュネー王女が知るのはまだ先だろうがな」


 シュネーは両目を見開いた。驚きのあまり、猫耳もピンと立つ。

「どうして私の事を知っているの? ここではネーと名乗っていたのに」

「儂は元は王族直下の特殊部隊だったぞ。有名所の王女様ぐらい知っておるわ」

 老人は踏ん反りかえった。勝ち誇ったような笑みを浮かべている。

 しかし、その笑みは長くは続かなかった。老人の表情がこわばる。

 耳をすませば、獰猛な吠え声が聞こえる。血に飢えた獣が近づいているのだろうか。

「可愛らしい王女様を狙って、狼が近づいているようじゃのう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ