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残酷な俺の仕事  作者: 今晩葉ミチル
荒野の戦闘
31/91

30.認めろ

 怪物の頭突きをウルスラ達は飛び去ってかわし、スバルもシュネーを抱えて素早く地面を転がり辛うじて難を逃れていた。幾つもの破片が飛んできて痛い想いをするが、地面が砕かれたのを考えると軽傷のうちだろう。


 その後、ウルスラ達は何故かスバルの傍にやってくる。


 黒い魔物は銀色に光る牙を剥き出しにして、襲い掛かってくる。ウルスラは青息吐息だが、無駄な動きなくかわす。ウルスラの仲間たちも同様だった。

 一方でスバルは普段の身のこなしができない。

 右足に怪我をしているし、しびれ薬の効果は切れていない。おまけにシュネーを抱えているから走り去るのは不可能だ。

 ギルバートはそんなスバルを見捨てるつもりかもしれない。


 だが、簡単に諦めるわけにはいかない。


 スバルには死んだ仲間の無念を晴らす目的がある。それは、反乱軍を全滅させるだけではない。

 目の前にいる仲間を救えなかった無念など、味わいたくない。生きて仲間を守る事ができなくなった戦士たちの想いも、スバルは背負っている。

 

 だから、生き延びる。救える仲間を死なせはしない。


 たとえ王族から反感を買っても、譲れない。ウルスラの罠にはまった自分がギルバートに切り捨てられるのは仕方ない事だが、シュネーは守りたい。今さらになって、シュネーを斬りつけようとした事と、シュネーを気絶させた事を後悔していた。

 今、シュネーが逃げられないのはスバルのせいだ。だから、スバルはシュネーを安全な所に逃がそうとする。

 それなのに、ウルスラたちは執拗に追いかけてきた。当然のことながら、黒い魔物が狙ってくる。

 スバルは吠えた。


「こっち来んな!」


 しかし、ウルスラは不適な笑みを浮かべる。

「嫌なら、決闘に負けたと認めろ」


 穏やかな口調だ。片膝をつき、か細い息をしているのに、余裕な態度を崩さない。

 決闘に負けたと認めるのは、ウルスラを始めとする反乱軍と戦えなくなる事を意味する。スバルが勝てばウルスラが死ぬという条件で決められた事だ。一旦はウルスラを追い詰めたものの、シュネーを守ろうとしたのが仇となり、苦境に立たされている。

 ギルバートが召喚した巨大な黒い竜がウルスラに猛攻を仕掛けるたびに、スバルも巻き添えを食らう。気を失っているシュネーは大きな足かせになるが、シュネーを見捨てられない。スバルは詰んだも同然だった。


 しかし、スバルの瞳には闘志が燃えている。


 しびれ薬の効果も軽くなってきている。普段どおりの身のこなしができるようになるのも時間の問題だ。実力を出せれば黒い竜を回避しつつ、ウルスラを仕留められる。

 スバルの胸は高鳴っていた。

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