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かなづち

作者: 海空 ひかる

私はお金が欲しいのです。ただそれだけなのに、なかなか叶わないものです。私は昔から金使いが荒く、もらっては使って欲求を埋め、また新たな物欲が生まれてもらって使う、この繰り返しを何度したことかわかりません。年をおうごとに欲する物の値段も上がっていき、徐々に心が苦しくなってきました。

お金が欲しいのです。インタアネットで「中学生 お金 稼ぐ方法」と無理矢理検索をかけても、有力な情報は一向に出て来ません。新聞配達の存在はわかっておりますが、新聞配達をする為にも先生と話し合ったり、いろいろと迷惑をかけそうな面倒なことばかりやるようなので諦めております。ネットで稼ぐ方法もありますが、犯罪の匂いがするので手を出す気にはまれません。もう売るものはすべて売りました。漫画も、服も、何度も絞って売りに行きましたが、思うような良い値段はそうそうつくものではありません。悲しいです。

あるひ、私は問いかけてみました。

どうしてお金は減るのだ

それは使うからさ

そこまでたくさん使った覚えはない

一度で使う量が多いのだよ

何がいけない?

素敵なものに出会い過ぎなんだよ

どうしたらいい?

我慢ができないのなら、これ以上の出会いを制限しなさい。そして、音楽が無くても生きていける精神力を身につけなさい。

無理だよ、音楽は私にとっての精神安定剤なんだ

なら無理だね、残念


私は。わたしはレコード屋さんにいます。いつものように、少しの可能性を塗りたくった指でレコードを探します。大好きなバンドのレコードがあるはずの棚のレコードを慣れた手つきで探します。

すとん、さっさっ、すとんすとん

すとんといきかけて、わたしは手を止めました。

あったのです。あのレコードが、あったのです。

わたしはレコードを抱き、母の方へ向かいました。

母も何枚かレコードを持っていました。私の好きなレコードです。

会計を済ませて、車で家に帰ります。

家に帰って、玄関に置かれた袋を拾い上げ、兄弟に自慢します。しましたら、机の上にレコードを並べます。満足気にレコーどを眺めましたら、いよいよレコードを回します。

ボタンを押して、レコードが回ります。

針をゆっくり上げて、落とすところを確認してから、ゆっくりそっと、針を置きます。

置けませんでした。

そこには現実に帰ってきたことを知らせる時計がおいてありました。

私は途端に悲しくなりました。机を見ても、レコードはありません。

私はそのレコードを聞かぬままこれからの人生をすごすのです。


私は人生を楽しみます。その裏にいつも請求書はつきまといます。

悲しくて嫌になりました。かなぢい

中学生お金を稼ぐなど無理なのです。

現実です。

きっと働ける年齢になっても、面倒だからとお金を稼がないでいるのが私の運命でしょう。

悲しくありません、必然です。

皮肉を言い、誰かに伝えようと、遠回しに様々なものに傷をつけながら進んでいっても一生伝わらないのです。

人間はみな違う生き物です。分かり合うなど無理な話です。


わたしは最低の人間です。いや、人間ではないのかもしれません。

けれどものたのた生きています。生きていますか?私は生きていますか?

この世界が実在するなんて、誰が証明したのですか?

みんな、私をおいてどこに行ったのですか?

わたしは人の気持ちがわかりません。

人が悲しいと言っていても、その感覚にうまく同情することができません。

何が悲しみなのか、自分でもよくわかっていません。

でも、それがいいのだと思います。

理解者がいない世界は、ハードモードのようで楽しいのです。

馬鹿です。私です。わたしと書いてばかと読みます。

バカはどこですかね、ここですよ!

馬鹿ですね、動物園に入れておきましょう。馬鹿は


私はお金が欲しいのです。




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