返済その9「全力で、僕は僕の波を信じる」
本日は、店主の機嫌が悪かった。その機嫌の悪さは、店内に居る有希、紅美、赤井が見ただけで解るくらいだった。
「なにが、あったんすか?」
と、赤井が紅美に聞いた。
「なんでも、近くに安くて美味しいイタリアンレストランが出来たんですって…。それで、お客さんが不入りで…」
と、紅美は店主のイライラの理由を教えた。
「そうなんですか…」
赤井と同じく、店主のイライラの理由を知らなかった有希は頷く。
「だからって、なんで、僕があんたと一緒に、そのレストランに、偵察行かなきゃならないんですか!!」
と、何故か、有希は赤井と一緒にライバル店の前に居た。
「仕方ないだろ…。俺だって、紅美さんと行きたかったわ…」
赤井は、『色彩園』の会計を払ってないのを店主に脅されたのと、紅美からの頼みで、ライバル店のイタリアンレストラン、『イスルギ』に、有希と偵察に行くことに。ちなみに、紅美は店主と一緒に店番。
「ていうか、店主はあんたから借金してるのに、逆にあんたが脅されて、どうするんですか!?」
ツッコミだしたら、キリがなくなるので、赤井は有希を無視して、レストランへと向かう。
レストランの前は、女子高生から、若い女性、ビップのオバサマ方までと、多くの女性が並んでいた。その列に、有希と赤井も並んだ。
「なんだか、やけに女性が多いですね…」
「ああ、そうだな…」
赤井は、紅美から渡されたレストラン『イスルギ』の広告チラシを見た。
チラシには…、『イケメンだらけのイケメンレストラン』と大きく書かれていた。さらには、『イケメンシェフが料理を作り、イケメンスタッフ達が料理を運ぶ。あなた方も、彼らに釣られてみない?』と書かれていた。
有希、赤井はチラシを苦笑いで読んだ。
「なんだ、このホストクラブの宣伝みたいな煽り文句…」
と、赤井がツッコんでる間に列は進み、いつのまにか、もうレストラン店内に入っていた。
レストランは、婦人方の高笑いが響き渡り、色彩園とは比べるのも申し訳ないくらいに優雅な作りの室内であった。そして、ホストクラブのごとく、店員達がイケメンだらけだった。
有希、赤井は妙に息苦しくなってきた。
空いた席を案内され、座った有希、赤井の元にメニュー表を持ってきたイケメンの店員が現れた。
店員は、赤井よりは低いがスラッとした細身の長身で、髪の毛は嫌味にならないサラサラの爽やかな長髪の眼鏡の美青年だった。
「ようこそ、イケメンレストラン『イスルギ』へ…。わたくし、イケメン店員の青木龍聖と申します」
と、柔らかで優しい声で挨拶をし、二人にメニュー表を渡した。そんな彼のイケメン具合に、男の有希までも、たじたじになってしまった。
(自分でイケメン言ってるけど、確かに、イケメンや!!名前まで、カッコイイ!!)
と、有希は心の中で叫んだ。何故か、興奮していた。
(あおき、りゅうせい…。そんなタイトルのロボアニメあったよな…。確か、必殺技が、V−MAX…)
赤井は、別のことを考えていた。
「えーと、なにか、オススメは…」
メニュー表を渡されても、イタリア料理に詳しくない有希は店員の青木龍聖に、オススメを聞いた。
「オススメですね…。オススメは…」
と、青木は眼鏡を、くいっ!と上げた。その仕草まで、カッコイイ!!と有希は興奮した。
もしかしたら、有希はBLッ気があるのかもしれない。
赤井は、80年代のロボアニメについて考えていた。
「オススメは、まず、イケメンシェフである浦太郎氏が、手塩に掛けて作った『ベーコン・レタス』の和え物ですね」
どーでもいいが、『ベーコン・レタス』を略すと、『B.L』。




