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極彩タップス  作者: 夜助
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返済その7「動き出せば、クライマックス」

 有希は、ここ数日、幸せだった。

 何故なら、ここ最近、赤井が店に現れなくなった(奴が、前回の失態のせいで、紅美の前に現れるのが恥ずかしくなったから)

 おかげで、店主の顔色やら、血色、肌の張りが五十代とは思えないくらい良かった。

 二人は、このまま、奴が現れなくなれば、死と隣り合わせの毎日が終わる(本当は、借金を返済し終われば現れなくなる)と思っていた…、が…。



 ある日、有希は買い物をしに、街に出ていた。赤井と、しばらく会わなかったせいか、ハイテンションで、スキップしながら、街中を歩く。

「いやー、今日は、なんて天気が良いんだー!!」

 と、曇り空なのに、彼ははしゃぐ。よほど、赤井が居ないのが、嬉しいと感じていた。


ドン!


 ハシャギまくってスキップしたせいか、有希は、対向から来た人にぶつかってしまった。

「あっ、すいません…」

 小心者の有希は、即座に謝る。そして、ぶつかった人の顔を見ようとした。どうやら、背の高い男のようだ。

「ぶっ!!」

 ていうか、有希がぶつかったのは、不幸の象徴である赤井秀人だった。

「やぁ、福梨君…。俺…、参上…」

 と、ハシャギまくってる有希を睨みながら、赤井が挨拶をする。なにやら、機嫌の悪そうな顔をしている。たぶん、しばらく、紅美に会わないでいたから、精神が不安定になっていたのだろう…。

 有希は、好きなグラビアアイドルが水着を卒業したとき並に、絶望の淵に立たされた。



 というわけで、何故か、二人は近くの喫茶店に入り、(有希のお金で)お茶をすることに。

 前回の失態を気にしている赤井は、無言で、チョコレートパフェを食べる。有希は、『恐い顔の人って、喋らないと余計に怖い』と言うことに気付いた。

(やばいな…。なんか、話さないと…)

 そう思った有希は、とりあえず、この気まずい空気を消そうと努力することに。

「えーと、赤井さん…。好きな仮面ライダーは、なんですか?」

 と、精一杯の話題で、有希は赤井に話し掛けた。

 すると…。

「あぁ?」

 と、血管が走った表情で返された…。

 どうやら、本気で機嫌が悪いらしい。有希は、身の危険を感じた。

(うわー、メチャクチャ機嫌悪そうだよ、この人!!もしかして、ウ○トラマン派だったのかな…)

 ハッピーから、絶望に墜ちた有希の思考回路は、メチャクチャになっていた。

 だが、しばらくして…。

「おい、福梨…」

「えっ、はい!(呼び捨て!?)」

 赤井の方から、話し掛けてきた。

「こないだの映画の件だが…。紅美さん、なんか、言ってたか…」

 と、前回の失態についての紅美の反応を聞いてきた。やはり、かなり気にしているようだ。

「えっ…。紅美さんは、『赤井さん、体調悪かったのかしら…』って、心配してました…」

 と、有希が言うと…。

「本当か!」

 沈黙していた赤井が、立ち上がった。

「ええ…、本当に言ってましたよ…」

「よっしゃー!!」

 そう聞くと、赤井はガッツポーズをして喜んだ。

 確かに、紅美本人が言ったのだ。嘘ではない。

(もしかして、紅美さんも…。赤井さんに、気があるのかな…)

 と、有希は思ってしまった。彼女は、赤井をあくまで客の一人でしか見てないと、有希は思っていたが…。

 しかし、紅美のその一言で立ち直り、無邪気に喜ぶ赤井を、本当は純粋で、いい人なのかも…。と、有希は見る目を変えた。



 翌日から、赤井は、また店に顔を出し始めた。

 赤井は、笑顔で紅美と話す。紅美も、笑顔で赤井と話している。

 そんな二人の様子を遠くから、有希は見つめた。どこか、嫉妬混じりで、赤井を見つめていた。

「なんで、紅美さん。あんな人に優しいんだろ…」



「ありがとうございましたー」

 しばらくして、食事を終えた赤井は店から去った。

 彼が去ったテーブルの食器を片付けながら、紅美は…。

「そういえば、いつになったら、赤井さん…。お会計、払ってくれるのかしら…。ここに来てから、一回も払ってくれないな…」

 と、言った。

「払ってねぇのかよ!あの野郎!!」

 有希は、今度から、人を見る目を厳しくしようと思った。

 所詮、悪人は悪人だ…。

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