返済その4「君は野球する方?それとも、される方?」
前回までの話。
改造人間、福梨有希は借金まみれである。そんな彼は、少しでも借金を返すために、今日も働きまくる。
果たして、彼は借金を返せるのか?そして、借金取りの赤井秀人の魔の手から、居候先の従姉のお姉さん、京山紅美を守ることが出来るのか?他人が、ビリーズ・ブート・キャンプをやるのは、勝手だが、長続きできるのだろうか!?ていうか、周りの話題に合わせるために、人はビリーをやるのだろうか!?
居候初日を、赤井が現れた以外は楽しく過ごせた有希は、本日から、定食屋『色彩園』の手伝いをすることに。
開店してから、2時間経った昼の午後1時。有希は、店主から頼まれた食材の買い出しに、街に出た。
「へぇ、なかなか、賑わってて綺麗な街並ー」
と、多くの人が歩き、柔らかな日差しと建物が重なる街並を、有希は良い気分で、街を歩いていた。
が…。
「よう、福梨君!」
その声に、有希の体がビクッ!となった。
どこから現れたのか、礼の赤井秀人が有希の前に…。しかも、満面の笑顔で…。
「あっ、赤井さん…。こんばんわ…」
「今は、昼間だぜ。有希君」
有希はガチガチに固まりながら、挨拶した。赤井のアロハは、やはり、血で染まっているように見える。
「これから、どこ行くんだい?ん?」
と、有希の肩に赤井は手を置く。この手で、何人の人の血を吸ったのだろうと、有希は思った。
「買い物に行ってたんですよ…。じゃあ、さいなら…」
有希は、赤井の手を振り払おうと歩き出すが、赤井の手が万力のように、肩に噛み付いているので、歩き出せなかった。
「ははは…、すごい握力ですね…」
「で、きみー。紅美さんが暮らしている定食屋に、昨日から、住み着いたんだろう?」
急に、赤井は話を変えた。たぶん、これが、本題だろう。
「はい…。一緒に、ご飯食べたりして、喋ってました…」
「へぇ…。そうなの…。羨ましいねぇ…」
顔が怖い、顔が怖い、顔が怖い!肩が痛い!と、有希は赤井の顔が変わって行くのを見た。そして、赤井に握られた肩の痛みが増していく…。
(人が、怒る瞬間を見てしまった…)
有希は、なんかのマンガの台詞を引用したような言葉を頭に浮かべた。
「君…、まさか、紅美さんに変なこと、してないよね…。あるいは、されてないよね…」
鬼のような形相の赤井が、有希を睨みながら聞いた。
「いやいや、するわけなかとですたい…。あたしゃ、チェリー・アンド・ヴァージンだきゃあ…。第一、部屋は別々ですにゃあ…」
恐怖のあまり、語尾がメチャクチャになりながらも、有希は拒否する。
「そこまで、聞いてはない…。でも、まさか、紅美さんの下着姿か、裸を見たりしてないよね…。あるいは、風呂とか、着替えを覗いてねぇよなぁ?」
「それも、ありません…」
半泣き状態の有希であった。
「なら、いいんだよ…」
と、赤井は有希の肩を離した。
「でも、紅美さんのパンチラは見ました…」
そう有希が言った瞬間、無意識レベルの速さで、赤井は有希の首を絞めた。
「なんだと、てめぇえええええええーーーー!!!!!!なにを、見てしまったんじゃあああああああ!!!!何色だったぁああああああああ!!!!!」
物凄い形相と、全身の血管を浮かせながら、有希の首を赤井は全力で絞めた。
「紅美さんが、茶の間に正座した瞬間、見るつもりなかったのに、スカートからチラッ!と見えたんですよーーーー!!!白でしたーーーー!!!!」
首を絞められながら、有希は必死に自分の弁護をした。
「白だとぉぉおおおおーーー!!!!!」
「白でしたぁぁああああああ!!!!」
数秒後…。
赤井は、有希の首締めをやめた。
二人は、何故か、照りつける太陽に顔を向けた。日差しが、目に入らぬように、二人は手で日差しを遮る。
「白か…」
と、赤井は呟いた。
「はい、白でした…」
首に跡が残る有希は、返答した。
「青春だな…」
そう赤井が、青く澄んだ空を見上げながら言った。




