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極彩タップス  作者: 夜助
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返済その3「十円玉をタバスコで磨くと、ピッカピカ」

「えっと、今日から、ここで居候させてもらいます、福梨有希です…。迷惑掛けてしまうかもしれませんが、お店の手伝いもしますので、よろしくお願いします…」

 有希は、これから、お世話になる定食屋『色彩園』のカウンターの前で、挨拶をした。居候させてもらう紅美の居候先の定食屋で、暮らしをさせてもらうのだから、きちっと自己紹介しなければならないのが、筋であり、礼儀である。

 彼の挨拶を、初老の店主の白井猛しらい たけしも、恐い顔をしているが、良い笑顔で…。

「おう、よろしくな」

と、不器用ながらも挨拶を返す。そんな男の優しさがにじみ出る彼の笑顔で、有希はホッとする。

「すいません、いきなり、居候させてもらって…」

 有希は改めて、礼をする。

「いやいや、何度も礼などしないでいいぞ。最近の若者は礼儀が正しいな、ハハハ!!」

と、店主は豪快に笑う。

(良かった…。いい人、そうだ…)

 美人の従姉の紅美と、豪快で気持ちの良い店主。これから、楽しい生活が送れると思っていた…。

 が…。


「すみません…。ご飯おかわり」


 アロハが似合う赤井秀人の声が、有希の新たに芽生えた希望を打ち壊していた。

(なんで、借金取りが、ここに居るんだよ…)

 有希は、頭を抱えた。怖くて、赤井の存在を黙認しているが、無意識に汗を流していた。

「あっ、今、お持ちしますよ、赤井さん」

と、紅美が赤井の席から、茶わんを取った。すると、ダジャレではないが、赤井が名の通り、赤い顔になった。

「あっ、紅美さん。すっ、すみません。ハハハ…」

 紳士的な喋り方をする赤井に、有希は…。

(なんか、キャラ違う!第1話と、同じ人?)

と、思った。

「いえ、赤井さんには、毎日来てもらってて、しかも、借金の返済を延ばしてもらってますので、このぐらい」

と、紅美は笑顔で言いながら、受け取った茶わんを持って、台所へ向かって行く。

(毎日、来てんだ、この人…。そういえば、この定食屋は借金していると聞いた…。たぶん、ここも、僕の親と同じトコから、借金してて、しかも、同じ取り立て人かよ…)

 有希は、状況を把握した。更に、紅美と話した時の赤井の様子から…。

(たぶん、紅美さんに気があるな…)

と、感付いた。



「ありがとうございましたー」

 紅美の可愛らしい声を、背に受けて、赤井は隠しきれない笑顔をしながら、店を出た。

 よほど、良い気分なのか、店を出た後、スキップしながら、タバコをポケットから出した。

「ふはは…、やはり、紅美さんは可愛いぜ…。ハハハ…」

と、タバコをくわえながら、赤井は笑っていた。そして、ふと後ろを向くと…。


「ぶっ!!」


 赤井の後ろに、有希が居た。驚いて、赤井はタバコを吹き出した。有希は、見てはいけないものを見てしまった罪悪感に支配されていた。

「なんで、てめー、俺の後ろいんだよ!!ガキ!!」

 顔が赤くなった赤井が、有希の服の襟首を掴んだ。

「あなたが、店にライター忘れてったので渡しに…」

 有希が、赤井が落としたライターを手に持ち、苦し紛れに言った。そのライターを、赤井は乱暴に取り、襟首を離した。

「このクソガキが!借金、さっさと返さんか!あと、てめー、なんで、紅美さんとこに居候すんだよ!!」

 定食屋で耳に挟んだことを思い出した赤井が、有希に迫り寄った。

 それに対し、有希は…。

「紅美さんとは、従姉なんですよ」

と、言った。


「なんだとぉぉおおおおーーー!!!!!」


 赤井は、大きな叫びを上げて固まった。

 この様子を見て、有希はこう思った。


(利用できるな…)



 福梨有希は、鬼の借金取り、赤井秀人(27歳)の弱点を発見した。

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