返済その16「一体、自分以外、誰の強さ信じられる?」
いきなりだが、有希は街中を歩いていたら、同い年くらいの不良の高校生、三人に絡まれ今、線路沿いの人通りの少ない金網フェンスに、有希は体を押しつけられていた。
「いや、本当に今、お金持ってないんすよ…。勘弁して下さい」
襟首を不良に握られ、怯えながら、有希は話す。
「だったら、銀行行ってATM使って出してこいよ!じゃないと、痛い目見んぞ!」
と、不良の親玉が有希に殴りかかろうとした瞬間…。
「やめろ…」
どこからか、第三者の声がした。
不良たちは殴るのをやめ、声の方に首を向けた。
すると、その先には、クセッ毛の金髪頭に、エキゾチックでワイルドな顔立ちをした黄色の胴着と袴を着た少年の姿があった。胴着を着ていても解るくらいに、小柄だが、ガタイの良い少年だ。
「誰だ!?てめぇ!?」
と、不良の一人が言う。
すると、少年は…。
「私は、金太郎氏が館長をしている『烈光道場』に通う、金本銀二だ。キサマらのような、一人に対して複数の囲みをする輩が嫌いだから現れた」
と、金本と名乗る彼は、礼儀正しく言う。
「なに、カッコつけてんだ、こいつ!?」
不良の親玉が、有希の襟首を離した。同時に、不良達の矛先が、金本少年に変わった。襟首を離されて、苦しさから解放された有希は彼の身を心配した。
「金本君とやら、危険だよ!」
と、叫んだ。
だが…、金本は口元に笑みを浮かべて…。
「安心しろ…。強さにも、レベルと言う物があって、私の強さは、なけ…」
バゴッ!
と、彼がなにかを言おうとした瞬間、一人の不良が間を入れずに、彼の顔をぶん殴った。
金本の唇が切れ、血が飛んだ。まるで、ギャグ漫画みたいな感じで。しかし、彼は倒れなかった。
隙だらけだった彼を、不良達は笑った。
「ははは!なんだ、こいつ!?全然、弱いじゃんかよ!!」
「こいつ、『バカ』じゃねぇー!!」
「『バカ』だと…!」
急に、金本の顔が急変した。『バカ』と言う、一言で。今まで、平然を装っていた彼の顔が、まるで、某グラップラー漫画の登場人物みたいな血管を走らせた凶悪な表情になった。
その変化は、空気の読めない不良達をも黙らせて、有希の腰を抜かせた。
「『バカ』で悪かったな…、『バカ』で…。今だに、掛け算、割り算出来なくて悪かったなぁ!!!」
と、冷静さの欠けらもないデスボイスを放ちながら、彼は不良達に迫って行く。
そのときの状況を、福梨有希(17)は語る。
「いやー、不良達が悪かったのも、当然でしたが…。彼は、『バカ』って言葉を聞くと、ハイパー化するみたいです…」
「こんなこと言っても、信じてくれないと思いますが…。『仮面ライダーカ○ト』みたいに、彼の姿が消えちゃったんですよ…」
「そうそう、不良達に襲い掛かるスピードが早すぎて、肉眼では、彼の動きを捉えられなかったんですよ…」
「そこからが、すざましかったです…」
「彼が、なにをしたかって?」
「はい…、不良達三人を、同時にわしづかんで…。そう、まるでゴミ袋を両手で掴むように…」
「そのまま、室伏選手のように体を回転させてて…」
「はい、不良達三人を(体重を合計して、たぶん、180キロを)…」
「ブン投げました…」
「はい、まるで、フリスビー投げみたいに…」
「ありゃ、たぶん、2キロ先まで飛んじゃいましたね…」
「本当に、恐かったです…。あの不良達の生存が、気になります」
以上のことをやった金本は、こう言った。
「5キロ先まで、行くと思ったのに…」
有希は、足が震えた。




