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極彩タップス  作者: 夜助
10/19

返済その10「働こうぜ、ダブルアクション」

 前回までの話。

 もしかしたら、有希はアッチ系なのかもしれない。

 そんな危険な果実の虜になりそうになっている有希の隣の席で、赤井は『ロボアニメ、聖戦士ダ○バインの終盤で、ビルバ○ンの色が、赤から迷彩色に変わった理由』を、真剣に考えていた。



 赤井が、正気に戻った頃、『ベーコン・レタス』のサラダやら、『カルボナーラ』やら、有希が頼んだ『イカスミのパスタ』など、いろいろなイタリアン料理が、イケメン店員の青木龍聖の手から運ばれていた。

「うほっ!美味そうな、ベーコン・レタスだぜぃ!!」

 さっきから、何故か、やけに楽しそうな有希は運ばれてきたイタリアン料理に、大興奮だった。

「それでは、ごゆっくり…」

 と、青木が去ろうとした時。


「まちやがれ!!」


 と、赤井は叫んだ。

「ん!」

 その声に驚いた青木は、思わず、足を止めた。同じくして、いきなりの大声に、ベーコン・レタスを食べようとしていた有希の動きが止まった。

「いかがなされました、お客様?」

 と、赤井の席まで青木は寄る。赤井の顔は、静かな怒りに燃えるような表情だった。

「貴様、こんなものを客に出すのか…」

 赤井は出された料理の皿を見て、そう言う。彼は、なにかに不満を持っていた。

「お客様、なにか、ご不満でも…?」

 青木は、赤井のクレームを聞き取ろうとしていた。

 しかし…。

「見て解らねぇのかよ…」

 と、赤井は冷たく言い捨てる。

 そう言われ、青木は自らが出した料理の品々を見た。が、やはり、なにが不満なのかが解らない。同じく有希も。

「赤井さん、なにが、不満なんだよ!」

 そう有希が聞いても、赤井は、なにも喋らなかった。

(なにが、不満なんだ?このお客は…。『見て解らないのか?』だと…?)

 と、青木は再び、自らが出した料理の品々を見る。そして、赤井のクレームについて、細かく思考を走らせた。

(皿が汚れていた?いや、ソースなどによる、汚れは拭いた…。

オーダーミスはない…。

なにより、この赤井とかいう男は、オーダーを同席の少年に任せていた…。

提供時間も、問題はないはず…。

むしろ、早かったはずだ。

料理に、異物が入ってのか…?入ってたとしても、見て解るのは、提供前に、こっちで確認できたし、食べてからじゃないと、異物の確認は出来ないはずだ…。じゃあ、なんだ?なにが、不満なんだ?盛り付けが、不満なのか?いや、そんなクレームは、今までなかったし…。それに…(さすがに、長いので省略します))

 さまざまな思考を張った青木だが、自分の落ち度が見当たらなく、まったく持って、赤井の無言のクレームが解らない。

「見ても、解らないのか…」

 と言って、赤井は立ち上がった。

「お客様、不満があるのでしたら、教えてもらえませんでしょうか?なんだったら、商品をお取り替します」

 青木は冷静に、赤井を静めようと努力していたが…。

「見て解らないんなら、言ったって仕方ないだろうが…。考えな…。マニュアル通りの接客なんて、この程度か…。字数と、展開の都合と、作者の都合で去るぞ、有希…」

 そう冷たく言い放ち、赤井は席から去る。有希は、残念そうな表情をして、店から離れていく赤井の背中を追う。

「僕の接客が、マニュアル通りで中身のない、形だけの接客だって…」

 二人が去った席にある料理の品々を見ながら、青木は赤井に言われた言葉を噛み締めた。



「で、なにが不満だったんですか!?赤井さん!!」

 楽しみにしていた料理が食べられなくて、有希は怒り心頭に、赤井にクレームの内容を聞いた。

 それに対し、赤井は…。


「あんにゃろう、墨汁のぶっかかったスパゲッティ出しやがって…。普通、食えるか、あんなもん。なんで、あんな墨汁かかった奴を客に出すんだよ」


 有希は、その赤井の発言を聞いて固まった。

 赤井が言っているのは、『イカスミのパスタ』のことだった。

「赤井さん…、あれ、イカスミソースのパスタで、普通に食べられるんですよ…」

 有希が、そう言うと、赤井の顔が固まった。


 赤井秀人は、パスタの種類を、ミートソースとナポリタンしか知らなかった。

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