返済その1「惚れた女は、皆、すでに彼氏持ち。イエイ!」
「借りた物は返す…。なんで、最近これ出来る人、少ないかなー。なぁ、福梨有希君?」
と、筋肉質の巨漢は言う。
巨漢は、鮮やかな色彩のアロハシャツと、白のズボンが似合っている。そして、強面。
僕、福梨有希は、そんな巨漢に睨まれ、売り飛ばされた高級マンションのドアの前で正座をしている。いや、させられている。
なぜ、僕は冒頭から、こんな目に合っているのか…。
アロハの似合う巨漢、名前は、確か、赤井秀人と言った。その赤井さんが、僕の親がした借金の数メートルはある借用書を、僕の目の前に差し出す。そう、彼は借金取りだ…。
「いやー、君も不幸だねー。数年前から、事業に失敗した、君の両親が、うちの金融会社から莫大な借金を繰り返し、そして、あまりにも膨れ上がり返せなくなった借金を、一人息子である君に渡す形で、トンずら…」
赤井さんが、ベラベラと僕の事情を話してくれた。
そう、まさに、その通りなのだ。
親が借金していたのは、知っていたさ。学費すら払えなくなって、僕は高校を中退。そして、アルバイトをして、親の借金の返済に努めていた。
なのに、今日本日の朝、目を覚ましたら、僕の両親は失踪していた…。しかも、部屋にあった家具などは、すべて金融会社の方々に持っていかれ…、気付いたら、その金融会社の鬼の取り立て人、赤井さんに残りの借金の返済を迫られている。
まとめると、僕は、選択する余地なくして、両親の負の遺産を受け取り、こんな化け物みたいな男に、残りの借金について、責められている。なんて、ひどい親だ…。
「すいませんが…、こうして、家から出され、今後、どうして生きていけばいいか解らない僕に、そんな多額の借金は返せません…。だからと言って、カ○ジや、ラ○アー○ームみたいに、変なギャンブルさせないで下さい…」
と、怖いが勇気を出して、本音を言ってみた。
すると…。
「なんで、『はい!返します!』の一言が言えないんだ?てめぇ?」
赤井さんの語調が変わった。僕は、さっきトイレに行かなかったら、間違いなく漏らしていただろう。
「とりあえず、返済を一ヵ月延ばしてやるから、少しでも、返済するよう努力すんだな…」
そう言って、赤井さんは話を切り始めた。
「あと、金返せないからって、死んだりするような真似すんなよ…。いいな…」
と言い残して、彼は立ち去る。なんて、でかくて怖い背中だ…。アロハの赤が、血に見えてきた…。
ていうか、僕は、あなたが死ぬほど怖いんですけど…。
ああ!!とりあえず、家はないし、どこで暮らして、なにを食べればいいんだよ!!!




