第1話 「落下と天使」
現在、絶賛落下中。
いや、いきなり何をいってんだ、こいつ。とか思わないでいただきたい。
俺も、なんでこんなことになったのかさっぱりわからないからだ。
もうかれこれ1時間以上経ったと思うが周りの見た目の変化はなし。
上を見れば、微かな光が。
下を見れば、確かな闇が。
まぁ、それはいい。
あんま良くないけどいいんだ。落ちてるだけだし。
何が良くないかっていうと周りが良くない。
右を見る。
「おぉ、今度は近未来」
煌びやかなネオンが踊るビルの間を空を飛ぶ車らしきものが泳いでいく光景が見える。
あれって地球なんかなぁ。
などと考えつつも、続いて左を見る。
「こっちは、なんもないけど綺麗だな……」
真っ赤な海に青い太陽が沈んでいくという幻想的な風景が流れる。
夕日が赤いのって確か光の屈折云々じゃなかったっけ。
てことは、俺がいた世界じゃないのかもなぁ。
群青色の空に流れる雲をぼけーっと見ながら考えてみる。
一瞬。
ザザっとその光景にノイズが走り。
「……そう来たかー」
思わず呆れた声が出る。
大群の擬人化昆虫擬き同士が戦争でもしてるように争ってる映像に変わる。
音声は入ってこないがそれでもかなりの激戦のようだ。
切り飛ばされた腕やら首やらが血飛沫と共に舞い踊ってる様子なんかは下手なハリウッド映画よりも迫力がある。
けどやっぱグロい。
やめてよー、俺、そんなにグロ耐性あるわけじゃないんだからさー。
ってことで、癒されようと右を見るも。
「ですよねー」
所変わって今度は、天使っぽい翼の生えた人と悪魔っぽい見た目のモンスターが戦争してた。
これなんて終末戦争?
人型の生き物ってみんな戦争好きなんですね、わかります。
と、いうように周りの風景がころころ変わる。
お蔭で落下中、暇しないで済んだけど。
それでもそろそろ飽きも来たことだし、こんな羽目になってしまうまでの回想を行う俺であった、まる。
俺こと、莢塚 秋夜は、その日、四月六日。
高校の始業式のために若干の早起きをした。
した、というより、してしまったの方が正解に近い。
恥ずかしながら、遠足前の子供のように不思議と目覚ましが鳴る前に起きてしまったのだ。
二階の自室からとっとっとっと軽やかな足取りで一階の居間へ。
そこで、いつもよりも大分早い起床に若干驚いている母親と挨拶を交わす。
パンの焼けるいい匂いとコーヒーの香ばしい香りが広がる居間を抜け、洗面台へ。
ちゃちゃっと顔を洗い、適当に歯を磨き、いい加減に嗽をして洗顔終了。
居間に戻るもまだ朝食の準備ができてないようなので自室に戻り着替える。
真新しいYシャツに袖を通して、洗い立てのスラックスを穿き、ハンガーに掛けてあるこれまた洗い立てのブレザーに袖を通す。
締めにネクタイを締め(ギャグではない、念のため)、くそ重い鞄を持って居間に戻る。
なんでくそ重いかってーと、新しい教科書やら辞書やらを持っていくために全てブチ込んだからだ。
頭悪いって?
何をおっしゃる。
こういう重たい物は一度に一気に初日に気合のある内に持っていくのが一番だと思うわけだ。
そうすれば、軽いノートとかだけ持っていけばオッケーの快適な通学生活を送れる。
そのための試金石というやつだよ。
とまぁ、そんなこと考えてる間に居間に戻り、自分用となって久しい椅子に座る。
ちゃちゃちゃっと、トーストやら目玉焼きなどを腹に収める。
んーむ。
ゆっくり味わうコーヒーがうまい!
…インスタントだけど。
ふと、今日の占いなんてものをやっているテレビに顔を向けると。
おっと、もうこんな時間か。
右上の時計が、出発の時刻を知らせている。
くそ重い、ホントクソ重い鞄を肩に掛け玄関へ行き。
「いってきまーす」
と、さしてやる気を感じさせない出立の挨拶を起きてきた父親と奥にいる母親に掛けて扉を開けた。
…………。
そして、約10分後。
「だぁ、くそ重い!」
今まで心の中でしかつかなかった悪態を道路の片隅でつく。
家から学校までは、歩きで約40分。
自転車通学じゃないのはなぜかって?
それは自宅と学校までの直線距離が自転車通学の範囲外だからだよ。
直線距離で測るとすごい近いんだが、畝っている道の所為で大幅に遠回りしなきゃならんという立地条件なのだ。
入学当初は父親や担任に泣きついてみたんだが。
(ズルはいかんし。丁度いい運動だろう)
と異口同音で言われ、結局は徒歩通学になってしまった。
だからこそ、さっさとクソ重い辞書や教科書を持っていき身軽な通学をしたい!
という割と切実な願望があってブチ込んできたんだが。
「疲れた……」
まぁ、そのままだ。
久々の通学路での運動にさらなる過負荷をかけてしまった俺の筋肉たちはぷるぷると抗議の声なき声を上げ、その場でしゃがみこんでしまったのだ。
ちらっと携帯で時間を確認。
うし、まだ余裕あるな。
ってことで休憩だ休憩。
4ヶ月に一回で迎えるこの儀式なんだがあんまりよろしくないなぁ。
やっぱり、少しずつ持っていった方がよかったか。
いや、今日までこれで来たんだから今更帰るのも良くないな、うん。
無理矢理納得してみる。
それにしても、こんな時間なのに珍しく誰もこの道を通らないな。
家のある住宅街から駅に行くにしろなんにしろこの道を通るはずなんだけどなぁ。
なんだろ、人の気配がしない?
周りの雰囲気も、こう薄皮一枚で包まれてるような?
わかりづらいだろうけど俺もわからんのよ。
んー?
なんだろね、これ。
パキン、ピシピシピシ……!
「な、なんだ?!」
何かがひび割れるような音の後、氷が溶けて行くときに発するような音が聞こえ。
「う、うわぁ?!」
足下のアスファルトで出来ているはずの道路が消えて無くなり、そのまま、落ちた。
それも、鞄のせいか結構な勢いで。
「ち、遅刻するううううううううううう!」
と、まぁ、いささか間抜けな叫び声を上げて、道路に突然出来た黒い穴に引きずり込まれていった。
以上が、今までの経緯。
一体何が起きたのか、考える時間があるにはあるんだけど、はてさて。
なんかラノベとか少年漫画とかの導入っぽいよなー。
とか、考えたけどさすがに無いだろ。
ちらっ、と未だにめまぐるしく変わる周りの風景を見。
……無いだろ?
…無くもないのかもなぁ。
いやさ、俺も健全な17歳であるからして、少年漫画もラノベも読むけどさ。
さすがに自分がそんな目に遭うなんて思わないだろ?
……妄想したことはあってもだ!
まぁ、妄想した中には、こんな謎空間に落っこちるなんてのはなかったけどさ。
……お?
…おぉ?
今まで真っ暗だった下の方に微かな光が見える。
というか、近づいてるのか段々光が強くなってきている気がする。
反して、上の方には光がない。
やっとこの無限落下地獄から解放されるのか?
などと思った瞬間。
「おおお!?」
それまで緩やかだった落下速度が急に勢いを増して、一気に下に引っ張られる。
擬音的にはヒューからビュンに代わるほどの勢いで。
え、ちょっと速過ぎね?
いや、速すぎだっておい!
耳元に聞こえてくる音がヒュゴー! とか空気を切り裂く音なのは辞めてほしい。
ってか、やめて! 怖い!
「誰か止めてえええええ!」
またしても我ながら、情けない声を上げて、下の方から溢れ出る光に突っ込んだ。
「……いだっ!?」
いきなり尻への衝撃。
かなり痛いんですけど!
さっきまでの無闇に明るい光のお蔭か、視界がぼやけてる。
て、尻?
おぉ! 懐かしの地面!
未だはっきりしない視界の中、地面をぺたぺた触っていると。
「……随分、お若い英勇ね?」
「…アリサ様、英勇の方を見かけで判断してはなりません」
人がいる?
視界がぼやけてる中、目の前に二人。
声からして両方とも女性だろうか。
段々と視界が戻ってくる。
「貴方、本当に英勇なの?」
「もしや言語の違う時代から召喚されたのではありませんか?」
「そういえばそんな記録もあったわね」
………。
えーと、なんていうか。
視界は戻った。
戻ったけど、ここって天国?
いやさ、目の前で会話してる女の子二人の見た目がすげぇのなんの!
アイドルなんか目じゃないね!
偉そうにしてる女の子(実際偉いんだろうけど)の方は、背中の中ほどまでありそうなキラキラと光を反射する淡い銀色の髪。少し吊り上った形のいい眉。釣り目気味の深い翠の瞳。すっと通った鼻筋に小振りな形のいい鼻。そして、生意気そうに笑みを浮かべている艶やかな唇。
そして、それらを彩る煌びやかな薄紅のドレス。
あれって、天使じゃね?
で、もう片方の女の子も負けず劣らず。
これまた背中まであるだろうポニーテールに纏められた薄く紫に見える髪。キリッとなっている細めの眉。切れ長の薄紫の瞳。彫りの浅めの鼻筋。
これまた、キリッと結ばれている薄い唇。
そして、それらを守るかのように、薄青の胴鎧、同じ色の大盾。さらには剣らしきものを佩いている。
こっちは、戦乙女なんじゃね?
その戦乙女がこっちを向き。
「失礼ですが、私の言葉を理解できますか?」
固い表情のまま訪ねてくるもんだから。
「……わ、わかりますけど?」
質問で返しちまったい。
「そうですか。安心しました」
にこりともせずに言う。
笑ったら可愛いと思うのに。
「ところで、ここって何処ですか?」
いきなりの核心である。
や、だってどう見ても地球人類じゃないだろ。
銀髪翠眼とか初めて見たわ!
「ここは〔グリンドナード聖王国〕ですが?」
「グリ…なに?」
「〔グリンドナード聖王国〕です。もしかしてご存知ではないのですか?」
「全然知りません。ここって地球じゃないですよね?」
「ちきゅう、とは、どこの大陸の国名ですか?」
戦乙女さんと二人してはてなマークの飛ばし合いをしてしまう。
「ってことは、やっぱりここは異世界ってことになるのか……。まいったな……」
〔グリンドナード聖王国〕なんて国名は地球上になかったはずだ。
うーん。想定してたとは云え困った。
「……異世界、だと?!」
え、そこ驚くところ?
呼んだのそっちだろ?
「貴方、本当に異世界、違う世界から来ちゃったの?!」
天使が、やらかした! みたいな顔でこっちを見る。
「うん、まぁ、多分。俺のいた世界じゃ翡翠色の瞳なんていないですし」
「……困ったわ。まさか、適当に修復したのが悪かったのかしら……」
不穏なことおっしゃいますね。
「ア、アリサ様。とりあえず、この者に腕輪を嵌めてもらえば何かわかるんじゃないですか?!」
「そ、そうね。そうしましょう」
腕輪ってなんじゃらほい?
「腕輪を持て!」
「はっ」
戦乙女さんが力強く言うと、後ろに控えていた騎士が答えた。
あまりに二人の印象が強すぎて今まで気付かなかったけど、後ろの方に鎧を着こんだ人が10人ほどいた。
答えた騎士が、小さな箱を持ってきて天使さんに渡した。
「こちらにございます」
「ありがと。……さて、この腕輪を利き腕の逆の方の手首に着けてもらえるかしら?」
天使さんが有無を言わさぬ迫力で箱の中から、取り出した腕輪を俺の方に差し出す。
よく見るために立ち上がり、観察してみる。
腕輪自体はそんなに大きくはない。
目立つ特徴と云えば、腕輪全体の真ん中を白いラインが通り、その両脇が透明だってことぐらいか。
真ん丸の形でどうやってつければいいかわからないのが問題だな。
「どうやってつければいいんでしょう?」
「そのまま手首に押し付ければいいわ」
「…痛くない?」
「痛くない。ほら、さっさとしなさい」
押し付けるように手に持たされる。
持った感じはプラスチックのような石のような。
さほど、重くはないな。
……えーい、ままよ!
「てい!」
一声かけると同時に、左手首に腕輪を通す。
「…おぉ」
すっと音もなく手首にぴったりと腕輪が収まる。
「さて、次ね。腕輪に右手を置いて《ステイシア・ビュー》って言ってごらんなさい」
すていしあ? って何だろう?
まぁ、いいか。
やってみよう。
「《ステイシア・ビュー》」
ゥン。
ブラウン管のテレビの電源を点けたような音がして。
「おわ!? なんだ、これ? ……ステータス画面?」
目の前に半透明で出来た窓枠が現れ、その中に正しく、ステータス画面としか言えないものが記されている。
えーと、何々……。
名前 莢塚 秋夜
位階 Lv1
称号 ≪異界からの来訪者≫
二つ名 無し
種族 〈人族?〉
職業 [???]
能力 【来訪者】
【■運】
【?神の声】
付与能力 【全言語翻訳】
【全言語読解】
技術 無し
魔術 無し
才能値 基本値 職業補正 能力補正 装備補正
精神力 130
筋力 2
体力 2
速力 3
器力 4
知力 3
識力 4
運力 5 +?
これなんてRPG?
「その様子だと、ステイシアの窓は開いたみたいね。そのまま、今度は《アクティブ》って言ってみて」
天使が軽く頷いて、続きを促す。
「《アクティブ》?」
今度は、半透明だった枠やら文字が不透明になる。
「……異界からの来訪者?! ア、アリス様、これはやはり!」
「どうやら、その可能性が高そうね。参ったわ、ホント」
さっきのキーワードは、ステータス画面を他人に見せるための物だったらしい。
戦乙女さんは、目をむいたまま、おろおろしてる。
対して、天使さんは、呆れ半分覚悟半分といった感じの目で俺を見て。
「ようこそ、異世界へ。私の名前は、アリサスティーラ・ティリナム・グリンドナード。ここ、グリンドナードの王女よ」
「お、王女様でしたか」
道理で綺麗なわけだ。
「そして、残念だけど、2週間後までに貴方には、戦えるようになってもらうわ」
「え、え? ど、どういうことですか?」
驚きで手を腕輪から離すと、微かな音をたててウィンドウが消える。
離せば消えるのか。
にしても、また微妙な期間だな。2週間て。
「……二週間後に敵国の馬鹿どもが攻めてくるからよ」
せ、戦争?!
戦争ですか?!
「い、いや、そんなこと言われても、俺戦った事なんかないし」
若干涙目なのは仕方ない。
「えぇ、えぇ。そうでしょうね。レベル1ですもの。こっちも泣きたいくらいよ。本来なら、この世界の英勇を呼び出すつもりだったんだから」
心底困ったって顔をしてらっしゃる王女様。
「じゃあ、なんで俺呼ばれちゃったんでしょうか?」
「……そ、それは……。多分、私とディアのせいね……」
「私も手伝いましたからね……」
「どういうこと?」
なんか凄く沈んだ様子だけど?
「貴方のいるところが、丁度、召喚の魔法陣の真ん中なんだけど、ここ百年近く使ってなかったせいか、魔法陣が所々欠けてたの。そこを私と横にいるディアの二人で、直してみたんだけど……」
「半分だけ成功しちゃって、半分失敗した。て、ことでしょうか?」
見ると確かに足元にはいろいろと幾何学模様が描かれている。
まぁ召喚は成功したけど、目的の人じゃなかったことだし。
「そういうことになるわね。……ごめんなさい」
「申し訳ない!」
王女様とディアさん? が頭を下げる。
「え、いやいやいや! 頭上げてください!」
「しかし、巻き込んでしまったのだから……」
と、おたおたと慌てふためきながら頭を下げ続けるディアさん。
ところが。
「あら、そう。じゃあ、遠慮なく」
あっさりと頭を上げる王女様。
まぁ、王女様だし、そんなに頭下げていられないよね。
「でも、謝ったのは本意よ。出来るなら、すぐにでも送り返してあげたいところだけど……」
と、そこで言い淀む。
「…召喚の儀式って、1年に1回出来ればいい方なの。だから、来年まで待ってもらうしかないんだけど、残念ながら、来年もこの国があるかどうかわからないのよね」
「はい? ……もしかして、戦争があるから、ですか?」
攻めてくるとか言ってたし。
「えぇ、そうよ。普通の戦争なら、まだ匿ってあげれたんだけれど、相手はこの国を滅ぼす気だから、そうもいかないのよ」
やっぱりかい。
でも、滅ぼすって穏やかじゃないな。
「戦争って普通は、利益のためにやりますけど、滅ぼしちゃったら相手国にとっての利益なんてほとんどないんじゃ?」
某大国が産油国に喧嘩吹っかけたりしたのがいい例じゃないかな。
「ぶっちゃけちゃえば、利益は、ここ。この場所をどうにかできれば出るのよ」
「この場所ですか? ……英勇って言ってましたっけ」
意味を雰囲気で察せるような感じがするんだけど、それに従えば、英雄と勇者って意味かな。
「あら、もしかして、結構頭いいのかしら。そう、ここ。〔聖なる御座〕が目的みたいね。他国にとってはここは凄く邪魔な場所だから」
「英勇ってそんなに強いんですか」
「ええ、それはもう。伝説やおとぎ話に出てくるほどですもの。それに、〔聖なる御座〕では、過去から未来に至るまでの英勇を呼べるのよ」
「それは、大盤振る舞いというか」
やり過ぎというか。
「お蔭様で、この国は過去1000年間の永きに渡り存在してきたわ。国難の度に、英勇に助けてもらいながらね」
「はぁ、で、今回も助けてもらおうとしたけど、失敗しちゃった、と」
呼ばれてごめんなさい。
「あら、まだ失敗かどうかわからないじゃない。もしかしたら、貴方も英勇足りえる可能性だってあるじゃない?」
「いや、無い無い。俺ただの庶民だよ?」
それも、ちょー平均的な。
「英勇誰しも最初はただの人よ。……どっちにしろ、二週間後にラジャイルの連中が来ちゃうから、生き残るためには少しでも鍛えた方がいいわ」
「なるほど……」
相手国の目的からするとやっぱりこのままだと俺殺される可能性もあるよね。
「……わかりました。やるだけやってみます」
せめて逃げ切れるくらいにはならないと。
「そう、良かった。年齢が近いみたいだし、敬語はやめましょう。それと、私のことは、アリサでいいわ」
「わかった、アリサ様」
「様は、いらないわ」
「じゃ、つけないけど、本当にいいの?」
王女様なんだし。
「いいのよ。英勇になるかもしれないしね」
「いやぁ、成れないと思うよ?」
「今後に期待してるわ。それで、貴方は自己紹介してくれないの?」
「あ、ごめん。……俺は、莢塚 秋夜。莢塚が苗字で、秋夜が名前」
両親はシュウって呼んだりするけどな。
「苗字があるってことは貴族?」
「いや、俺のいた国は、みんな苗字があるんだ。俺はただの平民」
「ふーん。じゃ、シュウヤ。ここじゃ、詳しい話も出来ないし、城に行くわよ」
「わかった。……これから、よろしく。アリサ」
躊躇い気味に右手を差し出す。
アリサは意図を察してくれたようで。
「こちらこそ、よろしく。シュウヤ」
輝かんばかりの笑顔を向けてくるアリサにちょっとばかり見蕩れながら握手を交わした。
と、まぁ、こんなわけで、俺の異世界生活は始まった。
何番煎じかわかりませんがよろしくおねがいします。
誤字脱字難読などありましたらお教えください。
批判感想なども待ってます。
では、次話で会いましょう。